自転車業界でいま伸び盛りのジャンルって知ってますか? それは「電動アシスト自転車」です。と言ってもシティーサイクルではありません。なんとスポーツ用の電動アシスト、その名も「Eスポーツバイク」です。
「Eスポーツバイク」とは、マウンテンバイクやクロスバイクなどのスポーツバイクに電動アシストユニットを取り付けたもので、海外では「e-bike」と呼ばれています。
今回、そのシマノさんに招待されて2月24日、25日に名古屋ポートメッセで開催された「名古屋サイクルトレンド2018」に行ってきました。
ここでシマノのEスポーツバイクのコンポーネント『シマノSTEPS』を搭載した自転車はもちろん、いろんなジャンルの電動アシスト自転車に試乗してきました。面白い体験だったので、どんなものなのか早速紹介していきます。
シマノSTEPSを搭載した自転車2台に試乗!
名古屋サイクルトレンドの会場では、シマノSTEPSを搭載した2台の自転車に試乗することができました。
ひとつはマウンテンバイクで、BESV JAPAN(ベスビー ジャパン)のプレミアムe-bikeブランド「BESV」の『TRS1』。もうひとつはクロスバイクで、MIZUTANIのスポーツバイクブランド「Seraph(セラフ)」の『E-01S』です。
カーボンフレームで軽い『TRS1』
最初に試乗したのはカーボンフレームを採用したマウンテンバイクのTRS1です。カーボンのためアルミ素材のマウンテンバイクよりも2~3kg軽く、電動アシストユニットの重量増加分を打ち消しています。
乗ってみて面白かったのはその漕ぎ出しの軽さ。シマノSTEPSがそのパワーを発揮し、自転車が引っ張られるような感覚で加速していきます。
じつはこのとき初めて電動アシスト自転車に乗ったのですが、面白くて思わず笑いが出てしまいました。みんなが電動アシスト自転車を買う理由が分かる。
試乗コースは平地のためすぐにアシストが切れてしまう速度(日本は規制により24km)までスピードが出るのですが、この速度でマウンテンバイク向けの山道コースを登ったら絶対に楽しいでしょうね。
価格は462,000円(税別)とのこと。
街乗り用クロスバイク『E-01S』
続いて試乗したのはE-01Sです。こちらはクロスバイクのため、TRS1よりもさらに漕ぎ出しが軽い。加速後のスピード維持は言うまでもありません。
メーカーでは通勤や通学用に考えているらしく、これに乗れば毎日の通勤・通学時間を削れることは間違いナシです。ボクも通勤していたときは途中にある登り坂でいつも苦労していたのですが、E-01Sに乗っていたら余裕だったかな。
あと街乗り用と聞いて思い浮かべたのは信号によるストップ&ゴーです。自転車だと止まってからまた巡航速度を戻すまでに苦労しますが、シマノSTEPSの力があればすぐに時速20kmくらいに戻せそうです。
「信号で止まること」への不快感が、気にもならないレベルになるのは乗ってる人間としてはかなり嬉しいです。
メーカーでは4月から発売を予定しており、価格は380,000円(税別)とのこと。
スポーツバイクに電動アシストっておかしくない?→じつは楽しくなる
ただ、Eスポーツバイクと聞いてなかにはこう思う人もいるはずです。「なんでスポーツ用の自転車に電動アシストなの? スポーツじゃん、漕げよ」、と。分かります。ボクも最初はそう思ってました。
実際、日本の電動アシスト車は規制により時速24km以上になるとアシストが切れます。つまり切れたあとは普通の状態になるうえに、電動アシストユニットの重さがプラスされてしまいます。
そしてマウンテンバイクやクロスバイクはすぐに24km以上になるため、普通に走るだけでは電動アシストの恩恵は漕ぎ出しの瞬間しかありません。まあそのときの自転車が引っ張られるように加速するところはそれはそれで楽しいのですが、Eスポーツバイクの楽しさはそこではありません。
Eスポーツバイクの価値は、通常では速度が出ない場所でも電動アシストにより速度が出る点です。
自転車で速度が出ない場所とはどこでしょうか? 自転車に乗ってる人はわかりますね、登り坂です。
人力で登り坂に挑戦すると、最初は勢いがあるもののだんだんと疲れてきて遅くなり、しまいには降りて歩いてしまいます。けれど、これがEスポーツバイクなら違います。
電動アシストが押し上げてくれるため、普通だときつい坂道でもグイグイと進むことができます。そして坂を登りきったあとは、気持ちの良い下り坂を体験できるというわけです。
通勤や通学の途中にあるつらい登り坂でも、このEスポーツバイクがあれば楽しい道になること間違いなしです。
また、マウンテンバイクにいたっては悪路を電動アシストの力で進むことができます。これがヨーロッパで人気が出ている理由です。
普通だとつらいところを電気の力で速度を出す。これは面白そうでしょう?
シマノSTEPSとは?
そんなEスポーツバイクを日本国内向けに展開しているのがシマノSTEPSです。
海外と日本では電動アシストユニットに対する規制が異なるため全てをそのまま持ってこれるわけではありませんが、クロスカントリーやトレッキング、街乗りが国内展開の対象になっています。
シマノSTEPSはスポーツバイク用に設計されており、418Whのバッテリー大容量、通常より高い出力の70Nm(最大)、浸水防止機能やペダリングの効率性などなど、スポーツ用の電動アシストユニットとして作られています。
とくにすごいところはシティーサイクルなどに組まれている電動アシストユニットと比べると、横幅が小さく作られている点です。
通常、バッテリーの容量を大きくするとユニットの幅が大きくなり、ガニ股で走るような感じになってしまいます。しかし、シマノSTEPSであれば普通の姿勢で漕ぐことができます。
もちろん電動アシストの規格に合格するためのコンポーネントもシマノ製のため、スポーツバイクで電動アシストを使うならシマノSTEPSで間違いないといえるでしょう。
シマノSTEPS搭載車がたくさん!
シマノブースには試乗した自転車以外にも、シマノSTEPSを搭載した自転車が展示されていました。
こちらは株式会社あさひのルイガノ。
深谷産業のギザロ。
ミヤタサイクルのリッジランナー。
同じくミヤタサイクルのクルーズです。クロスバイクタイプですが、オプションでランドナーっぽくなるのがいいですね。
値段もこなれているのでとてもイイ……。
シマノブースには新製品がずらり
もちろんシマノブースにはパーツをつけた完成車だけではなく、新製品も展示されています。
これはシマノ初のパワーメーターである『FC-R9100-P』。シマノのコンポーネントのなかで最高峰のデュラエースグレードです。
こちらはただのドロップハンドルのように見えて
『Di2』という電動変速対応コンポーネントです。
スイッチを押すだけで変速するのですが、押しっぱなしにすると連続でギアをチェンジできるため走行中の操作がかなり楽になりそうです。
ほかにもアルテグラグレードのコンポーネントや、
ホイール。
サイクルウェアなどが展示されていました。
ビンディングペダルを試す
個人的に嬉しかったというか、まだロードには乗ってない自転車乗りとして参考になったのがこちらの展示コーナー。シューズのフッティングコーナーです。
お店で試すと「それでシューズを買うの? 買わないの?」というプレッシャーを勝手に感じるので足を運びにくいのですが、このコーナーでなら好きなだけフッティングを試すことができます。
もちろんビンディングペダルは片面の「SPD-SL」と
両面の「SPD」の両方が試せます。
知っている人には釈迦に説法ですが、「SPD-SL」と「SPD」ではシューズの裏についているクリート(留め具)が異なり、ロードバイク向け、マウンテンバイク向けと用途も異なります。
ボクはビンディングペダルをまだ使ったことがないのですが、絶対に立ちごけすると判断できたのでまだ当分はつけずにいようと思います(笑)。
シューズ以外にヘルメットのフィッティングもできました。
ちなみにシマノブースではシマノのSNSをフォローすると引けるくじもあり、1日目は外したものの2日目は見事にタオルをゲットできました。ありがとうありがとう。
#名古屋サイクルトレンド 2日目にシマノマフラータオルをゲットした!!(完全に運)#PR#シマノSTEPS#Eスポーツバイク pic.twitter.com/X6SIOo0mim
— 篠原修司@フリーライター (@digimaga) 2018年2月25日
いろんな電動アシスト自転車に乗ってみた!
そしてせっかく名古屋サイクルトレンドに参加できたので、そのほかの自転車ブースも回ってみることにしました。
驚いたのはシマノ以外にも、ヨーロッパの電動アシストユニットを日本仕様にして輸入してきているメーカーがあったこと。
こちらはドイツで生産されたものだそうです。試乗してみましたが、本場の「e-bike」と「シマノSTEPS」に大きな違いはないように感じました。
面白かったのは小径の折りたたみ自転車に電動アシストユニットがついているもので、写真を撮り忘れてしまったのですがバッテリーがモバイルバッテリー並にめちゃくちゃ小さかったです。
そのため航続距離は12kmとかなり短い。でも、ちょっとした街乗りであればこの自転車で良いと思うレベルです。折りたたみ自転車の「いっぱい漕いでもスピードが出ない」という欠点を解消しており、かなり快適でした。
自転車好きなら名古屋サイクルトレンドに行ってみよう!
今回取材した名古屋サイクルトレンドは、ポートメッセなごやで開催されている車のイベント「名古屋オートトレンド」と平行して開催されている自転車の展示会です。
オートトレンドの方ではかっこいいスポーツカーとセクシーなコンパニオンのお姉ちゃんが目白押し。通常、多くのひとはこちらを目当てにやってきます。
名古屋オートトレンド2日目。今日は朝からきたんだけど入口の受付嬢さんも撮影対象なことに驚いた#PR#シマノSTEPS#名古屋サイクルトレンド#Eスポーツバイク pic.twitter.com/ZPcqQjESUN
— 篠原修司@フリーライター (@digimaga) 2018年2月25日
が、サイクルトレンドの方も出店数では負けていないというか、自動車と比べて自転車のため必要スペースが小さくてすみ、会場はドームの半分ながらも見るべきところはたくさんあります。
ロードバイクが好きな人はもちろん、サイクルウェアやサイクルコンピューターや、はたまたツーリング時の栄養補助食品など、ありとあらゆる自転車メーカーさんが参加してる感じ。
なかには自治体による観光案内ブースもあり、レンタルサイクルがあるだのサイクリングコースはどれだの次回のレースはいつだの、自転車ユーザーに向けた情報で盛りだくさんです。
今年の開催はおわってしまいましたが、興味のある方は来年の予定に入れてみてはどうでしょうか。
(Sponsored by シマノ)